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ハウスメーカーは高い?

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別にハウスメーカーの関係者でも何でもないただの一購買者なので、詳細に原価関係資料を見たわけでもないし、ネットに転がってる情報を読み漁った程度なので特に根拠がある訳ではありませんが、なんとなくですが常々、世間で言われている程ハウスメーカーは工務店に比べて「決して高くない」のではないかと思ってました。

まず、ネットによく出てるハウスメーカーが「割高」という意見と根拠ですが、

「ハウスメーカーは展示場の経費を上乗せしてるから無駄に高い」

「テレビCMをよく観るので家の価格に広告宣伝費が沢山乗っている」

「結局工事は地元の工務店が下請けるから無駄な中間マージンが発生」

「家の材料費は40%で経費が30%で、あと30%が利益」

「同じ金額で工務店で作ったらすごく豪華につくれる」

実際、ハウスメーカーの大量のテレビCMや、地元の工務店のトラックが横付けされたハウスメーカーの住宅工事現場を見るにつけ、CM費用高いんだろうな…や、なんだ結局工事は下請けに丸投げかよ…なんて思いますので、ハウスメーカーは工務店に比べて材料費以外にいろいろ余計な費用が沢山乗ってるのは間違いないと思います。

ところが、前々からネットの情報にスッキリ納得できず引っかかってたのですが、「じゃあ工務店・ローコストメーカーが安いのか?」なんですが、これも何となくなんですが違う気がしてました。

というのは、モデルハウスや、沢山の知人宅へ結構お邪魔してるのですが、ハウスメーカーは外壁…建付…キッチン…仕様が工務店に比べて一目で高級と分かります。そのため、工務店が安いのは、広告費分が安いのではなく、ただ、材料費自体が節約されてるのではないか?なんて何となく思ってました。

という事で、家の値段の高い安いは結局、ハウスメーカーだから工務店だからの差ではなくて、結局予算次第じゃない?なんてなんとなく感じてはいたのですが、私事ですが今回家を買うにあたって、貯金が全く無かったので、親に支援を頼みに行きましたが、その際親に、「親に泣きつくぐらいお金がないなら、高いハウスメーカーではなくて安い工務店でいいんじゃないの?」と言われました。

確かに…「支援を頼んでおいて、高級品を買うとは何事だ?安い家を買うのが筋だろ」という理屈は…僕が親でも言います。正論です。

そのため、親の説得のためにも、これまで何となく感じてた「ハウスメーカーは決して高くない」という事の証明どころか、「むしろハウスメーカーは工務店に比べて割安」いう事を屁理屈でも説明しなくてはいけなくなりました。

という事で実際ハウスメーカーが高いのか安いのか調べてみました。

トヨタホームは決算情報を開示してないのでハウスメーカー代表で「積水ハウス」と、そしてこれまたほとんどの工務店は上場してないため決算情報が無いので、工務店代表として上場しているローコストハウスメーカー「タマホーム」で比較してみました。

もちろん有価証券報告書などの決算情報を比べたからと言って、一概に製品個々の住宅の販価・原価・利益が分かる訳ではありませんが、結局は「家を売った金額の合計、『売上高』」から「かかった金額の合計、『売上原価』」を引いたのが「利益、『売上総利益』」という単純な図式なのでハウスメーカーの価格構成の比較の一つの目安にはなると思います。

(特に僕の場合は、「ハウスメーカー決して高級ではない」っていう結論ありきの調査なので・・・笑)

●積水ハウス 企業・IR情報
http://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/
http://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/highlight/

積水ハウス決算(平成30年1月期(H29.2.1~H30.1.31))ハイライト
※連結ベース:戸建・集合住宅など全て含んだ値

売上高  :2,159,363百万円
売上原価 :1,714,281百万円 79.3%
売上総利益: 445,082百万円 20.6%
販売費  : 249,541百万円 11.5%
営業利益 : 195,540百万円 9.0%
経常利益 : 203,678百万円 9.4%
税前純利益: 195,988百万円 9.0%
税後純利益: 133,224百万円 6.0%

●タマホーム四半期報告書(株主プロってサイトより)
http://www.kabupro.jp/yuho/1419.htm

1419タマホーム(建設業/東証1部,福岡)
第20期第3四半期(平成29年12月1日-平成30年2月28日)

売上高  : 109,313百万円
売上原価 : 82,202百万円 75.1%
売上総利益: 27,111百万円 24.8%
販売費  : 26,832百万円 24.5%
営業利益 :   278百万円 0.2%
経常利益 : △268百万円 △0.2%
税前純利益: △926百万円 △0.8%
税後純利益: △1,224百万円 △1.1%

決算報告の項目はいろいろありますが、結局、決算報告で比べるべきは、『粗利率』と言われる家を売った金額である「売上高」からかかった金額である「売上原価」を引いた『売上総利益』です。

この「売上総利益」には世間でハウスメーカーが高いと言われる原因であるCMや展示場の運営費などの販売費は入ってません。ただ純粋に家の販価から家の原価(材料費・工事費)を引いた差です。

で見てみると・・・あれっつ?意外な結果に。
ハウスメーカートップブランドである積水ハウスの方が、ローコストで有名なタマホームより家の利益率(粗利率「売上総利益」率)が低いです。

3000万円の家に換算して考えると、タマホームが売上総利益率24.8%で利益(粗利)744万円に対して積水ハウスは総利益率20.6%で利益(粗利)618万円です。

ハウスメーカーの方がローコストメーカーより利益が少なめです。その事はつまり材料費・工事費にお金かけてるっていう風に読み取れます。

【参考】

1.売上総利益…本業(商品・サービス)で稼いだ利益(粗利益)
「売上総利益=売上高-売上原価」

2.営業利益…稼いだ利益(売上総利益)から、営業活動で生じた費用を差し引く。
=△営業活動(広告・マーケティング活動等)を含めた成果。
「営業利益=売上総利益-販管費」

3.経常利益…営業力で稼いだ利益(営業利益)から、財務費用を差し引く。
=本業や営業力以外の、財務力等も含めて稼いだ成果。
「経常利益=営業利益+営業外収益―営業外費用」

4.税引前利益…経常利益から、臨時かつ巨額の特別的な損益を差し引く。
「税引前利益=経常利益+特別利益-特別損失」

5.当期純利益…税引前利益から法人税等の税金を差し引く。
=会社が最終的に稼いだ利益のことです。
「(税引後)当期純利益=税引前利益-法人税等

因みに話は逸れますが…広告宣伝費が含まれる販売費は、タマホームが販売費率24.5%で積水ハウスでは販売費率11.5%です。3000万円の家で考えると、積水ハウスは2,495億円掛けてる広告費などの販売費を住宅一戸あたり345万で負担しているのに対して、タマホームは販売費268億円を住宅一戸あたり735万円で負担していると考える事ができます。

積水ハウスはタマホームに比べて莫大な販売費をかけてますが、売り上げも桁違いに多いのでなので、住宅1戸当たりの負担も小さい結果になってます。

ただ話を元に戻すと、メーカーの決算書から住宅価格内訳を想像するアプローチでは、家の買い手に関係する項目は、「売上高」と「売上原価」と「売上総利益(粗利率)」の3項目なので、

前々からスッキリしなかったポイントなんですが、例え広告宣伝費/販売費がゼロの業者でも、「売上総利益(粗利率)」が30%なら3,000万円の家で考えると900万円の粗利をとるので、買い手にとってはハウスメーカーより(タマホーム24.5%〜積水ハウスで11.5%)その分「売上原価」材料費が削られてる訳なので、必ずしも家の価格が安いわけではなく高い買い物をしている事になります。

…と住宅メーカーの決算書から住宅価格内訳を想像するアプローチで屁理屈を組み立てて、なんとか親への住宅資金援助を泣きつきました。

ただ結局のところ、ほとんどの工務店は上場していないので決算書が公開されてない事や、大手ハウスメーカーも決算グループ会社全体の連結であることなどで、財務状況を読む程度の事では、住宅メーカーの利益率の想像や、住宅原価の想像は難しいです。

「僕の払うお金から、メーカーはだいたい25%くらい儲けてるんだなぁ」程度の事が読み取れるくらいでしたが、ただ少なくとも、ネットにある意見の「住宅の原価が50%〜70%」「住宅メーカーは家を売ると35%以上利益を出してる」ってのは言い過ぎで、もう少し原価は掛かってそうだし、もう少し利益は少なさそうです。

また、「ハウスメーカーは住宅展示場の運営費やテレビCMの費用分工務店より高い」についても、工務店がいくら利益(粗利)を出してるのか公開されてないので比べようがありません。

ただ結局、広告費を含む販売費はメーカーの売上総利益(粗利)の中から支出される費用のため、会社が最終的に利益(営業利益)を出すか出さないかに関わる話であって、買い手側に影響する住宅価格・契約額には関係ない話とも言えると思います。

実際、2018年度のタマホームは、住宅の買い手から粗利として24.8%稼いだ後、販売費として24.5%かけたため、最終的に赤字です。

つまりどれだけハウスメーカーが販売費をかけるかについては、買い手にとっては住宅価格から既に住宅メーカーの粗利として24.8%支払った後の問題で、住宅メーカーがどれだけ最終利益を出すか住宅メーカーが考える問題なので、買い手側が支払う住宅価格が高い安いの問題とと一緒に論じるのはなにか違うように思います。

なので結局、これもネット上で誰かが言ってましたが、
「ハウスメーカーの価格比較なんて意味がない。結局、そのハウスメーカーの仕様・価格に対する対価として納得して支払えるかどうかを考えて契約すればいい。」ってもともこうもない意見に戻っちゃうのかな・・・

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